湖尻純(こじり じゅん)
だれでもモバイル株式会社 代表取締役
「審査不要・保証人不要でも誰でもスマホを持てる社会」を目指し、通信業界に新しい選択肢を提供。いわゆる携帯ブラックと呼ばれる方々にも通信インフラを提供できるよう、レンタルスマホやMVNO事業の改革に取り組んできた第一人者。現在は、生活保護受給者や生活に困難を抱える方々に向けて、家具・賃貸・通信など生活基盤を支えるサービスをワンストップで展開。
現代において、スマートフォンは単なる電話機ではありません。
財布であり、地図であり、仕事の窓口であり、金融取引の認証キーであり、時には命綱にもなるライフラインそのものです。
それがもし「滞納」によって止められたらどうなるでしょうか?
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多くの人が、通信料と端末本体の代金(分割払い)を合算して支払っています。
1台10万円を超えるスマートフォンを24回や48回で分割購入している場合は、割賦購入契約です。
分かりやすく言えば、それは金融機関のローンと全く同じ借金です。
通信料の滞納は、あくまでキャリア(携帯電話会社)との間の問題です。しかし、端末代の分割払い(ローン)を2〜3ヶ月滞納すると、それは金融事故として扱われます。
クレジットカードの支払いや、自動車ローンの返済を滞納したのと全く同じで、その情報は信用情報機関(CICなど)に事故情報として登録されてしまいます。たかがスマホ代と侮ってはいけません。
手遅れになる前に、正しい知識と対策を身につけましょう。
支払期日が1日過ぎたその瞬間から、カウントダウンは始まっています。スマホ代の滞納を甘く見るとどうなるか、そのリアルな流れを時系列で解説します。
まず、キャリアから「お支払いが確認できていません」というお知らせが届きます。
具体的にはSMS、My docomoやMy auなどの会員ページ、自動音声の電話に通知が来るでしょう。または紙の督促状(払込用紙)が郵送されます。
さらにこの時点から、遅延損害金が加算され始めます。
利率はキャリアによりますが、消費者金融の上限に近い、年利14.6%に設定されているケースが多く、日割りで膨らんでいくでしょう。
最初の督促を無視すると、次は「○月○日までに支払わなければ回線を停止します」という利用停止予告が届きます。
※なおこれらは目安であり、契約状況により異なります
この予告期限を過ぎると、通話・データ通信(4G/5G)がプツリと切断されます。Wi-Fi環境下でしか使えず、電話はもちろん決済アプリや、各種ログインに必要なSMS認証も一切使えなくなるでしょう。
利用停止後もさらに支払いを無視し続けると、キャリアの堪忍袋の緒が切れます。強制解約です。
契約が強制的に終了させられ、それまでの未払い料金全額と、膨らんだ遅延損害金を一括で請求されます。
さらに滞納したキャリアの社内ブラックリストにも載るでしょう。将来、そのキャリアで再契約することは(料金を完済しても)非常に困難になります。
加えて深刻なのが「携帯ブラック」です。携帯キャリア間で未払い者情報を共有する「TCA(電気通信事業者協会)」や「TELESA」にあなたの情報が登録されます。
これにより、他社(ドコモで滞納したならauやソフトバンクなど)での新規契約すらできなくなるでしょう。
もしあなたの滞納に、端末代の分割払いが含まれていたら、事態は一気に深刻化します。
通信料の滞納はキャリアとの問題ですが、端末代の分割払いの滞納は「金融事故」です。
端末代の分割払いを2〜3ヶ月滞納すると、信用情報機関(CIC、JICCなど)に延滞(事故情報)として登録されます。これがいわゆる、ブラックリストに載る状態です。
同時に、あなたは分割で支払う権利を失い、残っている端末代の全額(例えば残り8万円)を一括で支払うよう請求されます。
強制解約後、キャリアからの請求は止まります。
しかし、キャリアは未払い金の回収を、債権回収会社(サービサー)や提携する弁護士事務所に委託(または譲渡)します。
しばらくすると、今度はそうしたプロの取立機関から、より厳しい内容の督促状が届くようになるでしょう。
債権回収会社からの連絡すら無視し続けた場合、彼らは法的な最終手段に出ます。裁判所から「支払督促」または「訴状」という、重い書類が特別送達で届くでしょう。
これを無視したり、裁判で敗訴が確定したりすると、財産差し押さえが強制執行されます。ターゲットは、銀行口座(預金)と勤務先の給与(手取りの1/4まで)です。
こうなると、滞納の事実が勤務先にも知られることになり、金銭的なダメージだけでなく、社会的な信用も失うことになります。
利用停止や強制解約の通知が来ていても、今すぐ行動すれば、差し押さえやブラックリストは回避できる可能性が高いです。
ここでは、今すぐやるべきアクションを3つ紹介します。
まず、キャリアからのSMS、電話、督促状を絶対に無視しないことです。
お金がないからと目を背け、連絡を絶つことが事態を最悪(ブラックリスト登録、裁判、差し押さえ)に進める最大の原因です。
キャリア側も、最初から法的手段を取りたいわけではありません。彼らが一番知りたいのは「支払う意思があるか、ないか」です。
無視を続けることは、「支払う意思がない」と公言しているのと同じ。だからこそ、相手は淡々と法的ステップを進めていきます。
お金が用意できていなくても、まず一本連絡を入れましょう。
支払期限を過ぎてしまったら、すぐに各キャリアの支払い窓口(電話、またはMy docomo、My auなどのWebサービス)に連絡してください。
伝えるべきは、「支払う意思があること」と「いつまでに払えるかという具体的な日付」です。
「給料日が○日なので、その日になら確実に払えます」と正直に伝えることが重要です。曖昧に「近いうちに…」と言うのは逆効果になります。
多くのキャリアでは、元の支払期限から数日〜2週間程度であれば、連絡をすることで新しい支払日(払込用紙の期限など)を設定してくれる場合が多いです。
一方、一度滞納してしまった料金の分割払いには、応じてくれないケースがほとんどです。
キャリアは金融機関ではないため、滞納金の分割返済という複雑な対応は通常業務に含まれていません。あくまで「次の期限までに一括で」が基本となります。
とはいえ、連絡もせずに放置するより、相談する方が100倍大切です。払う意思を見せましょう。
通信料(+通話料など)のみの滞納は、あくまでこれはキャリアとの契約の問題です。信用情報機関には登録されません(ただし、携帯ブラックには載ります)。
一方、端末代の分割払いの滞納は、金融機関とのローン契約の問題です。2〜3ヶ月滞納すれば、信用情報機関に事故情報(延滞)として登録されます。
もし利用明細を見て、端末代の分割払いが含まれている場合は、何をおいても最優先で支払う必要があるでしょう。これがブラックリスト入りを左右します。
不安な方は、自分で信用情報機関に情報開示を請求できます。ネットから数百円〜1,000円程度で即日確認できる場合もあるでしょう。
スマホ代も払えないという状況は、多くの場合、家計が破綻寸前であることを示す危険なSOSサインです。
払えないのは、スマホ代だけでしょうか?
自力でなんとかしようと、別のカードローンで借りて穴埋めする「自転車操業」になる前に、専門家の力を借りる必要があります。
自力での返済がどう考えても不可能な場合、法的に借金を整理する「債務整理」という最終手段があります。
これは国が認めた、借金問題を解決するための正式な手続きです。
弁護士や司法書士といった専門家に依頼する最大のメリットは、彼らが債権者(キャリア、カード会社、消費者金融など)に対して「受任通知」という手紙を送付した時点で、あなたへの直接の督促や取り立てが法律で禁止されることです。
主な債務整理には、以下の3つの方法があります。
1つ目は任意整理です。
裁判所を通さず、専門家が債権者と交渉し、主に将来の利息をカットしてもらいます。残った元本を3〜5年で分割返済していく方法です。
2つ目は個人再生です。
裁判所に申し立て、借金を大幅に(例:5分の1や10分の1に)減額してもらい、その残額を原則3年で返済する手続きです。住宅ローン特則を使えば、家を残せる場合もあります。
3つ目は自己破産です。
裁判所に「支払い不能」と認めてもらうことで、税金などを除くほぼ全ての借金の支払い義務を免除(ゼロに)してもらう手続きです。
「債務整理をしたら、スマホも取り上げられるのでは?」と心配する方も多いですが、必ずしもそうとは限りません。ポイントは、端末代の分割払いが残っているかです。
すでに端末代を払い終えていれば、そのスマホはあなたの資産です。通信料さえきちんと払い続ければ、基本的に使い続けることが可能です。
一方、端末代の残債がある場合は、少し厄介です。端末代のローンも借金の一部だからです。
自己破産や個人再生では、全ての借金が対象となるため、ローン返済中のスマホは原則として解約・回収されてしまいます。
しかし、任意整理であれば、整理する借金を選ぶことができます。
「A社とB社のカードローンは整理するが、スマホの端末代だけは払い続けてスマホを使い続ける」といった柔軟な対応が可能な場合があるでしょう。
スマホ代の滞納を放置した結果、あなたの信用情報に傷がつき、今後5年、7年と、ローンが組めない、カードが作れないといった影響が続く可能性があります。
最も重要なのは、信用情報を守ること、放置しないことです。
もし、スマホ代以外にも借金があり、自力ではもう無理だと感じているなら、一人で抱え込まず、弁護士・司法書士事務所へ相談をしましょう。