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  • 公開日:2026.05.22
  • 更新日:2026.05.28

国が認めた借金救済制度とは?4つの種類とメリット・デメリット

国が認めた借金救済制度とは?4つの種類とメリット・デメリット

インターネットやSNSで「国が認めた借金救済制度で、あなたの借金も減額・免除できるかもしれません」といった広告を目にしたことはないでしょうか。

ここでは、その借金救済制度の正体と、なぜ借金が減額・免除されるのか、その基本的な仕組みについて解説します。

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国が認めた借金救済制度とは債務整理

借金救済制度とは、「借金救済制度」という名前の法律や特定の制度が存在しているということではありません。

弁護士事務所や司法書士事務所が、借金問題に悩む人に向けて分かりやすく伝えるためのキャッチコピーのようなものです。

その実態は、法律に基づいて借金問題を解決する手続きである「債務整理」のことを指しています。

国が認めたと呼ばれるのは、債務整理が「破産法」「民事再生法」「利息制限法」といった国の法律に則って行われる手続きだからです。

なぜ借金は減額・免除されるのか?制度の目的

「借りたお金を返さないことが、国に認められるなんておかしい」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、債務整理の目的は、債務者の経済的な更生(生活の立て直し)を助けることです。

多額の借金によって生活が破綻してしまえば、最悪の場合、生活保護に頼らざるを得なくなるかもしれません。そうなれば、本人だけでなく社会全体にとっても大きな損失です。

そこで法律は、債務者の財産や収入の状況に応じて、返済しきれないほどの借金を抱えた場合に、一定のルールのもとで借金を減額または免除することを認めています。

もちろん、お金を貸した側(債権者)の権利も守る必要があります。

債務整理の手続きは、債権者の利益と債務者の更生のバランスを取りながら、裁判所などの公平な第三者を介して(または法律の専門家を通じて)行われる仕組みです。

主な債務整理は4種類ある

債務整理と一口に言っても、その人の状況(借入総額、収入、財産、保証人の有無など)によって、取れる手続きは異なります。
主な手続きは、以下の4種類です。

任意整理

裁判所を通さず、弁護士などが貸金業者と直接交渉し、主に将来の利息をカットしてもらい、残った元金を3年~5年程度で分割返済していく方法です。

個人再生

裁判所に申立てを行い、借金を大幅に減額(例:1/5や1/10程度)してもらい、残りを原則3年で返済していく方法です。持ち家を残せる可能性があるのが大きな特徴です。

自己破産

裁判所に返済不能であることを認めてもらい、一定の財産(持ち家や車など)は手放す代わりに、原則として全ての借金(税金などを除く)の返済義務を免除(免責)してもらう方法です。

特定調停

簡易裁判所の調停委員が仲介役となり、貸金業者と返済条件について話し合う手続きです。

あなたは大丈夫?制度利用を検討すべきサイン

「自分も債務整理を考えるべきなのだろうか?」と不安に思っている方のために、目安となるサインをご紹介します。

  • 借入総額が年収の3分の1を超えている
  • 3社以上から借り入れがあり、返済の管理が難しい(多重債務)
  • 返済のために、別の業者からお金を借りている(自転車操業)
  • 毎月の返済額が家計を圧迫し、生活費が足りない
  • 業者からの督促の電話や郵便物に、精神的に追い詰められている
  • すでに2ヶ月以上、返済を延滞してしまっている

これらの項目に1つでも当てはまる場合、状況が自然に良くなる可能性は低いかもしれません。返済が苦しいと感じたその時が、専門家に相談する最初のタイミングです。

4つの債務整理のメリット・デメリット

債務整理には、主に4つの種類があります。

あなたの借金額、収入、財産の状況によって、各手続きの内容、メリット、デメリットが変わってきます。

任意整理:裁判所を通さず、将来利息のカットを目指す

裁判所を介さず、弁護士や司法書士が貸金業者(債権者)と直接交渉します。将来発生する利息(将来利息)や遅延損害金をカットまたは減額してもらい、残った元金のみを原則3年~5年で分割して返済していく方法です。

メリット

  • 裁判所が関与しないため、手続きが比較的スピーディーで簡易。
  • 官報に載らず、裁判所への出廷も不要なため、家族や会社に最もバレにくい。
  • 保証人がいる借金だけを対象から外すなど、整理する借金を選ぶことができます。

デメリット

  • 交渉の基本は利息カットであり、借金の元金自体は減額されないことが多い。
  • あくまで任意の交渉なため、業者が交渉に応じてくれない可能性もゼロではありません。

向いている人

  • 利息がなくなれば、元金だけなら3年~5年で返済できる見込みがある人。
  • 保証人付きの借金や、自動車ローンなどを手続きから除外したい人。

個人再生:裁判所の認可を得て、借金を大幅に減額する

裁判所に申立てを行い、法律(民事再生法)に基づいて借金を大幅に減額(最大で1/5~1/10程度)してもらう手続きです。減額された借金は、原則として3年間で分割して返済していきます。

メリット

  • 自己破産と違い、借金を大幅に減額しつつも財産を処分される義務はありません。
  • 住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用すれば、持ち家(住宅ローン返済中)を手放さずに手続きできる可能性があります。

デメリット

  • 手続きが非常に複雑で、弁護士のサポートが不可欠であり、時間もかかります。
  • 利用するには、将来にわたり継続して収入を得る見込みが必要です。
  • 国の広報誌である、官報に氏名や住所が掲載されます。

向いている人

  • 借金額が大きく任意整理では返済できないが、持ち家は手放したくない人。
  • 自己破産は避けたいが、大幅な借金減額が必要な人。

自己破産:裁判所に返済不能と認められ、借金の全額免除を目指す

裁判所に、支払い不能であることを申立て、それが認められ免責許可が下りれば、原則として全ての借金(税金や養育費などを除く)の返済義務が免除される手続きです。

メリット

  • 全ての借金がゼロになるため、経済的・精神的な負担から完全に解放され、生活をゼロから再スタートできる最大のチャンスです。

デメリット

  • 持ち家や99万円を超える現金、20万円以上の価値がある車など、生活必需品を除く一定以上の財産は処分され、債権者への配当に充てられます。
  • 官報に氏名や住所が掲載されます。
  • 手続き期間中、警備員や保険募集人など一部の職業に就けない、資格制限があります。

向いている人

  • 収入がない、または極端に少なく、借金を返済できる見込みが全く立たない人。
  • 借金額が膨大で、任意整理や個人再生では解決できない人。

特定調停:簡易裁判所で返済条件を見直す

簡易裁判所に申立て、裁判所の調停委員が仲介役となって、貸金業者と返済条件(主に利息のカットや返済期間の見直し)について話し合う手続きです。

メリット

  • 弁護士に依頼せず自分自身で手続きを進めれば、費用を安く抑えられる可能性があります。

デメリット

  • 任意整理と比べて減額幅が小さい傾向にあります。
  • 交渉がまとまらず、不成立に終わる場合もあります。
  • 平日の日中に、何度も裁判所へ出向く必要があります。

※補足:特定調停は、手続きの手間や交渉結果の確実性を考慮すると、弁護士に依頼する任意整理の方がメリットが大きいケースが多く、近年は利用件数が減少傾向にあります。

制度利用に共通するデメリットとリスク

借金を減額・免除できる借金救済制度(債務整理)は、生活再建のための強力な手段ですが、利用には必ずデメリットやリスクがあります。

最大のデメリットはブラックリストへの登録(信用情報機関)

債務整理をためらう最大の理由は、いわゆるブラックリストへの登録ではないでしょうか。

ブラックリストへの登録とは、あなたのクレジットカードやローンの利用履歴を管理する、信用情報機関(CIC、 JICC、 KSCなど)に、事故情報(異動情報)が登録されることを指します。

ブラックリストという名前のリストが物理的に存在するわけではありません。

債務整理(任意整理、個人再生、自己破産など)を行うと信用情報機関に、債務整理を行ったという情報が登録されます。

登録される期間

手続きの種類や業者によりますが、約5年〜10年間は情報が残ります。

具体的な影響

この期間中は、金融機関の審査に通らなくなります。

  • クレジットカードの新規作成や利用
  • 住宅ローン、自動車ローン、カードローンなどの新たな借り入れ
  • スマートフォンの端末代金の分割払い
    ※通信契約自体は可能ですが、高額な本体を分割で買うことは難しくなります

重要:デメリットは延滞でも発生している

このデメリットは、債務整理の手続きをしたからというだけではありません。すでに返済を2〜3ヶ月以上、延滞している場合、その時点で事故情報は登録されています。

問題を先送りにして延滞を続けるよりも、債務整理によって生活を立て直し、登録期間(5年〜10年)が経過した後のクリーンな状態を目指す方が、将来設計において建設的であるとも言えるでしょう。

保証人・連帯保証人への影響

もしあなたの借金に保証人・連帯保証人がいる場合、注意が必要です。

あなたが債務整理(特に個人再生・自己破産)を行うと、債権者(貸主)は、あなた本人に請求できなくなる代わりに、保証人・連帯保証人に対して残りの借金の一括請求を行います。

保証人に内緒で手続きを進めることは事実上不可能です。家族や友人が保証人になっている場合、その人の生活まで破綻させてしまう危険があります。必ず事前に相談しましょう。

なお、任意整理であれば、保証人がついている借金だけを手続きの対象から外す、という交渉ができる場合もありますが、専門家との相談が必須です。

官報への掲載(個人再生・自己破産)

裁判所を通す手続きである、個人再生と自己破産の場合、裁判所の手続きの一環として、あなたの氏名や住所が「官報」に掲載されます。

官報とは、国が発行する機関紙(新聞のようなもの)です。

「近所の人や会社にバレるのでは」と心配されるかもしれませんが、官報を日常的に購読している一般の人はほぼゼロに近いため、官報掲載が理由で周囲に知られる可能性は極めて低いと言えます。

ただし、金融機関、信用情報機関、一部の不動産業者、ヤミ金業者などは、与信審査や顧客リスト作成のためにチェックしている可能性があるでしょう。

悪用する詐欺・悪質業者に注意

国が認めたという安心感を逆手に取り、借金に悩む人をターゲットにした悪質な業者も存在するため注意が必要です。

  • 誰でも必ず借金が消える
  • ブラックリストに載らずに整理できる
  • 信用情報をきれいにします

こういった甘い言葉は100%嘘です。債務整理は法律に則った手続きであり、上記のようなうまい話は絶対にありません。

法外な手数料を請求するNPO法人やコンサルタント、弁護士資格がないのに交渉を代行しようとする、整理屋(非弁行為)などには絶対に依頼してはいけません。

借金問題の相談は、必ず弁護士または認定司法書士(※)に直接行うようにしてください。
※認定司法書士は、1社あたりの借金額が140万円以下の場合に対応可能です

債務整理を利用する流れと費用

債務整理を利用すると決めた場合、どのような流れで進むのか、費用の目安や対処法について解説します。

弁護士・司法書士に依頼した場合の流れ

弁護士・司法書士に依頼した場合、一般的に以下の流れで手続きが進みます。

弁護士・司法書士への無料相談予約

まずは電話やメールで、借金問題に強い専門家(弁護士・司法書士)の無料相談を予約します。

面談・最適な手続きの提案

専門家と直接またはオンラインで面談します。借入先の業者、借入総額、収入、財産の状況などを正直に伝えるべきでしょう。専門家は、あなたの状況に最適な手続き(任意整理、個人再生など)を提案してくれます。

委任契約

提案内容や費用に納得できたら、正式に手続きを依頼する委任契約を結びます。

弁護士による受任通知の発送

契約後、弁護士は各貸金業者(債権者)へ「依頼を受けました」という受任通知を発送します。この通知が業者に届いた時点で、あなたへの直接の督促・取り立て・返済は法的にストップするでしょう。

各手続きの実行

督促が止まっている間に弁護士があなたに代わって、各手続きを進めます。

  • 任意整理:業者との和解交渉
  • 個人再生・自己破産:裁判所への申立て書類作成・提出

手続き完了・新たなスタート

  • 任意整理:和解成立。和解内容に基づき返済開始。
  • 個人再生:再生計画が認可。計画に基づき返済開始。
  • 自己破産:裁判所から「免責許可」が決定。借金の返済義務が免除されます。

弁護士・司法書士に依頼するメリット

債務整理は自分でもできない手続きではありませんが(特定調停など)、専門家に依頼することには、それを上回る大きなメリットがあります。

督促が即時にストップする

受任通知により、精神的なプレッシャーからすぐに解放されます。

複雑な手続きや交渉を全て任せられる

業者との交渉や、裁判所に提出する膨大で複雑な書類の作成を、全て代行してもらえます。

家族にバレにくい配慮をしてもらえる

連絡は本人の携帯電話のみにする、郵便物は事務所名ではなく個人名で送るなど、家族に知られにくいよう最大限の配慮をしてもらえます。

自分に最適な手続きを法的に判断してもらえる

「持ち家を残したい」「保証人に迷惑をかけたくない」といった個別の事情を踏まえ、法的に最善の解決策を導き出してくれます。

気になる弁護士・司法書士費用はどれくらい?

費用は、手続きの種類や依頼する事務所によって異なります。主な内訳は以下の通りです。

  • 相談料:法律相談にかかる費用
  • 着手金:依頼した時点で発生する費用
  • 報酬金:手続きが成功した場合に発生する費用(減額できた金額の◯%など)
  • 実費:裁判所に納める費用、郵便代(郵券)、交通費など、実際にかかる経費

各手続きの費用相場

  • 任意整理:1社あたり2~5万円~(着手金)+ 減額報酬
  • 個人再生:20万円~(着手金+報酬金)
  • 自己破産:30万円~(着手金+報酬金)

費用が高いと感じるかもしれませんが、多くの事務所が、相談料無料、着手金無料(または分割払い可)といった柔軟な対応をしています。督促が止まっている間に、弁護士費用を分割で積み立てる(支払う)方式を採用している事務所も多いです。

費用が払えない場合の対処法

費用が払えないから相談もできないと諦める必要はありません。

法テラス(日本司法支援センター)を利用する

収入や資産が一定基準以下の場合、民事法律扶助制度を利用できる可能性があるでしょう。

これは、弁護士・司法書士の費用を法テラスが一時的に立て替えてくれる制度で、あなたは後で法テラスに分割で返済していきます。また生活保護受給者が法テラスを通して自己破産をした場合、自己破産にかかった費用は免除されます。

事務所の分割払い制度を利用する

ほとんどの事務所が費用の分割払いに対応しています。受任通知でいったん返済がストップしている間に、家計をやりくりして費用を支払う方が、借金の返済を続けるよりはるかに負担が軽いケースがほとんどです。

まずは費用の心配よりも、無料相談で自分の場合は総額いくらかかるのか、どうやって支払っていけばよいのかを具体的に尋ねてみましょう。

この記事の監修者

湖尻純(こじり じゅん)

湖尻純(こじり じゅん)

だれでもモバイル株式会社 代表取締役

「審査不要・保証人不要でも誰でもスマホを持てる社会」を目指し、通信業界に新しい選択肢を提供。いわゆる携帯ブラックと呼ばれる方々にも通信インフラを提供できるよう、レンタルスマホやMVNO事業の改革に取り組んできた第一人者。現在は、生活保護受給者や生活に困難を抱える方々に向けて、家具・賃貸・通信など生活基盤を支えるサービスをワンストップで展開。