湖尻純(こじり じゅん)
だれでもモバイル株式会社 代表取締役
「審査不要・保証人不要でも誰でもスマホを持てる社会」を目指し、通信業界に新しい選択肢を提供。いわゆる携帯ブラックと呼ばれる方々にも通信インフラを提供できるよう、レンタルスマホやMVNO事業の改革に取り組んできた第一人者。現在は、生活保護受給者や生活に困難を抱える方々に向けて、家具・賃貸・通信など生活基盤を支えるサービスをワンストップで展開。
「学生への支援だから、少しくらい奨学金の返済が遅れても大丈夫だろう」
もしそう考えているとしたら、それは非常に危険な誤解です。現代において、奨学金は金融システムの一部として管理されています。
信用情報(いわゆるブラックリスト)の仕組みと、日本学生支援機構(JASSO)との関係性を解説します。
本コンテンツは誰モバ事務局が独自の基準に基づき制作しております。ECサイト、メーカー、キャリア等から送客手数料を受領しています。このページにはPRリンクが含まれております。
私たちがクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりする際、金融機関は必ず「この人にお金を貸しても大丈夫か?」を審査します。
この判断材料として使われるのが、信用情報です。これは、個人のクレジットやローンの契約内容、支払い状況、残債額などが記録されています。
日本では主に以下の3つの指定信用情報機関がこの情報を管理しています。
ブラックリストという名前のリストは実在しません。長期間の延滞や債務整理などがあった場合、信用情報に「異動」や「延滞」といった事故情報が登録され、その状態を通称「ブラックリスト入り」と呼んでいます。
この情報が登録されている間は、支払い能力に問題ありとみなされ、新たなローン契約やカード作成が極めて困難になります。
かつて奨学金は信用情報機関と連携していませんでしたが、延滞債権の増加に伴い方針が転換されました。日本学生支援機構(JASSO)が加盟しているのは、銀行系が中心の全国銀行個人信用情報センター(KSC)です。
2010年度以降に奨学金を借りた人は申し込み時に、個人信用情報の取り扱いに関する同意書を提出しているはずです。
つまり、ルール上は返済が滞れば信用情報機関に登録することに同意して契約していることになります。
これには第一種(無利子)と第二種(有利子)の区別はありません。無利子の奨学金だから信用情報は関係ないということはなく、どちらも同様に管理・登録の対象となります。
奨学金は、学生の学びを支えるという福祉的な側面を持ちますが、法的には金銭消費貸借契約、つまり借金です。
特に注意が必要なのが、保証制度の違いによる情報の扱われ方です。
一般的な教育ローンも同様に借金ですが、奨学金は「卒業後に返済が始まり長期間かけて返す」という特性上、社会人になりたての不安定な時期にリスクが集中します。
「1回でも引き落としができないと、すぐにブラックリスト入りするの?」これは奨学金返済に関して多く寄せられる質問です。
日本学生支援機構のルールでは、個人信用情報機関へ延滞情報が登録される基準を、延滞3ヶ月以上と定めています。
ここで注意したいのが、3ヶ月の数え方です。3ヶ月連続で引き落としができなかった場合はもちろん登録対象ですが、間に少額を入金するなどして滞納状態が解消されないまま、延滞額が3ヶ月分に達した場合も登録の対象となります。
一度登録されてしまうと、その後に滞納分を全額返済しても、情報の登録自体は数年間(多くの場合、完済から5年)消えることはありません。
3ヶ月ルール以外にも、信用情報に致命的な記録が残るケースが2つあります。
長期の延滞が続くと、JASSOは保証機関(公益財団法人日本国際教育支援協会など)に対して代わりに返してほしいと請求します。保証機関があなたの代わりにJASSOへ一括返済を行うと、信用情報には延滞とは別に、代位弁済という情報が登録されるでしょう。
これは金融機関から見れば、保証人に頼らなければ返せなかったという証明になり、非常に重いマイナス評価となります。
自己破産や個人再生などの法的手続きをとると、その事実が信用情報機関に登録されます(いわゆる官報情報)。この場合、奨学金だけでなく全ての借入れに影響が及ぶでしょう。
自宅に届く郵便物のタイトルを見るだけで、事態の深刻度を測ることができます。
また、JASSOから委託を受けた債権回収会社(サービサー)から電話がかかってきた場合は、すでに初期の督促段階を超えていると考えてください。
ブラックリストに載っても、借金さえしなければ関係ないと思っていませんか?信用情報の影響範囲は、単なるキャッシングやローンに留まらず、現代生活のインフラ部分にまで及びます。
キャッシュレス社会において、クレジットカードが使えない影響は甚大です。
一般的に審査が柔軟と言われる、流通系カード(楽天カードなど)であっても、信用情報機関(CICやJICC)のデータを必ず参照します。KSCに登録された奨学金の延滞情報はCRIN(信用情報交流ネットワーク)を通じて共有されるため、どのカード会社に申し込んでも審査通過は絶望的です。
今持っているカードは大丈夫とは限りません。カード会社は定期的に利用者の信用情報をチェックしています(途上与信)。ここで他社(JASSO含む)での延滞や異動情報が発覚すると、更新のタイミングを待たずに利用限度額の引き下げや、最悪の場合は強制解約となるリスクがあるでしょう。
クレジットカードが付帯するETCカードも使えなくなります。ETCパーソナルカード(デポジット型)という代替手段はありますが、高額な保証金を預ける必要があり、利便性は大きく低下するでしょう。
人生最大の買い物である住宅ローンにおいて、信用情報の傷は致命的です。
民間銀行の住宅ローンはもちろん、公的融資である「フラット35」も厳格な審査を行います。個人の信用情報に異動がある=返済能力に重大な疑義ありとみなされ、原則として審査には通りません。
夫がブラックだから、妻の名義で借りればいいと考える人もいますが、夫婦で収入を合算するペアローンや連帯保証を利用する場合、双方の信用情報がチェックされます。どちらか一方に傷があれば、希望額の借入は困難になります。
5年経てば情報が消えると言われますが、これは完済(または延滞解消)してから5年です。延滞が続いている間は、何年経ってもカウントダウンは始まりません。
車が生活必需品である地域において、ローンが組めないことは死活問題となり得ます。
銀行系のマイカーローンは審査が非常に厳格です。信販会社を通すディーラーローンであれば、銀行よりは可能性が残りますが、それでも信用情報に「異動」があると審査通過は極めて厳しいのが現実でしょう。
どうしても車が必要な場合、中古車販売店が独自に分割払いを引き受ける自社ローンという選択肢があります。これは信用情報機関を通さないため、現在の支払い能力さえあれば購入できる可能性があるでしょう。
ただし、対象車種が限られたり、車両価格が割高に設定されていたりするケースもあるため注意が必要です。
影響は住まいや通信手段にも及びます。
10万円を超える最新のiPhoneなどを分割払いで購入する場合、丁寧な審査(CICの照会)が行われます。審査に落ちると、一括払いで購入するしかありません。
近年、連帯保証人の代わりに家賃保証会社への加入を必須とする物件が増えています。信販系(クレジットカード会社系列)の保証会社(オリコ、エポス、ジャックスなど)は信用情報を参照するため、入居審査に落ちる原因となります。
一般企業が採用活動において応募者の信用情報を照会することはできません(本人の同意があっても原則不可)。ただし、金融機関など一部の職種では、自己申告を求められるケースが稀に存在します。