湖尻純(こじり じゅん)
だれでもモバイル株式会社 代表取締役
「審査不要・保証人不要でも誰でもスマホを持てる社会」を目指し、通信業界に新しい選択肢を提供。いわゆる携帯ブラックと呼ばれる方々にも通信インフラを提供できるよう、レンタルスマホやMVNO事業の改革に取り組んできた第一人者。現在は、生活保護受給者や生活に困難を抱える方々に向けて、家具・賃貸・通信など生活基盤を支えるサービスをワンストップで展開。
カードローンの滞納において、すぐに直視すべきリスクは数百円・数千円程度の遅延損害金ではありません。
あなたの身に降りかかるリスクを、初期・中期・末期の3段階に分けて解説します。
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例えば、滞納の翌日から2ヶ月未満の間に、あなたの生活と財布にはどのような変化が訪れるのでしょうか。初期段階のリスクを確認しましょう。
返済期日を過ぎたその翌日から自動的に発生するのが、遅延損害金です。これは単なる利息ではなく、約束を破ったことに対する損害賠償金の性質を持ちます。
多くの消費者金融や銀行カードローンでは、遅延損害金の利率を法律上の上限に近い年率20.0%程度に設定しています。
通常の貸付金利(年率3.0%〜18.0%程度)よりも高く設定されており、滞納期間が長引くほど負担は重くなります。
この8,219円は、元金の返済には1円も充てられません。単なるペナルティとして消えていくお金です。元金は全く減らないまま支払い総額だけが膨れ上がっていきます。
滞納が確認されると、多くの場合翌日から数日以内にカードの利用が停止されます。まだ限度額に余裕があるから、そこから引き出して返済に充てようという自転車操業は通用しません。
利用停止は、滞納分と遅延損害金を全額返済すれば解除されることが一般的です。
しかし、一度でも滞納した事実は社内データに残るため、返済能力に不安ありと判断され、利用限度額を大幅に減額(例:50万円→10万円)されるケースも少なくありません。
返済期日を過ぎても入金がない場合、金融機関は回収業務(督促)を開始します。
まずは本人の携帯電話に電話がかかってきます。うっかり忘れの可能性もあるため、初期の対応は比較的穏やかです。ここで電話に出て「〇日に入金します」と約束すれば、それ以上の連絡は一旦止まります。
電話に出なかったり約束を守らなかったりすると、自宅に郵便物が届きます。多くの業者は差出人名を伏せるなど配慮しますが、開封すれば督促状であることは一目瞭然です。
携帯電話への連絡を無視し続けると、自宅の固定電話に連絡が入る場合があります。また、頻繁に届く不審な郵便物によって、同居している家族に借金の事実が発覚するリスクが高まります。
法律(貸金業法)により、正当な理由なく勤務先へ督促の電話をかけることは規制されています。しかし、本人と連絡が一切つかない場合は正当な理由とみなされ、勤務先に個人名で電話がかかってくる可能性があります。
滞納が2ヶ月から3ヶ月(61日以上)続くと、失うのはお金だけではなく、信用そのものを失うことになります。
金融機関は、顧客の借入状況や返済履歴を信用情報機関(JICC、CIC、KSC)で共有しています。
滞納が、61日以上または3ヶ月以上続くと、あなたの信用情報に「異動」という文字が記録されます。これが俗に言うブラックリスト入りです。
銀行、消費者金融、クレジットカード会社など、ほぼすべての金融機関がこのデータを参照します。A社で滞納しているという事実は、瞬時にB社やC社にも筒抜けになるでしょう。
ブラックリスト情報は、滞納を解消した日から消えるのではありません。
完済してから5年〜10年間残り続けるため、今すぐに全額返済したとしても、向こう数年間は過去に金融事故を起こした人というレッテルを貼られ続けます。
ブラックリスト入りするとどのような審査に通らなくなるのか、その影響範囲を確認しましょう。
マイホームや車の購入ローンは、まず通りません。異動情報がある状態で数千万単位の融資を行う銀行は存在しないからです。結婚や出産のタイミングで家を買おうとしても、過去の滞納が原因で諦めざるを得ません。
現在持っている他のクレジットカードも使えなくなる可能性が高まります。
カード会社は定期的に利用者の信用情報をチェック(途上与信)しており、他社での滞納を知った時点でリスク回避のためにカードを強制解約(利用停止)にするからです。
これにより、ETCカードが使えず高速道路で立ち往生する、サブスクリプションの支払いが止まるなど、生活全般に支障が出ます。
意外な落とし穴がスマートフォンの機種変更です。10万円を超える端末(iPhoneの最新機種など)を分割払いで購入する場合、法律に基づき厳格な審査が行われます。ブラックリスト入りしているとこの審査に通らず、一括払いでの購入を余儀なくされるでしょう。
賃貸物件を借りる際、家賃保証会社を利用するケースが増えています。この保証会社が信販系(クレジットカード会社系)の場合、信用情報を参照するため、審査に落ちて住む場所の選択肢が狭まるリスクがあるでしょう。
滞納がこの段階に達すると、契約上の権利である「期限の利益」を喪失します。期限の利益とは、分割払いで返済してもいい権利のことです。
これを失うということは、金融機関から「もう分割払いは認めない。残っている借金全額と、これまでの遅延損害金を今すぐまとめて支払え」と請求されることを意味します。
この通知は、内容証明郵便で届きます。催告書や一括返済請求書といったタイトルの書面が届き、法的措置へのカウントダウンが始まったことを告げます。
一括で払えるお金がないから滞納しているのに、一括請求が来ます。しかし、これを無視すれば次は裁判沙汰になります。もはや自力での解決は極めて困難です。
督促電話を無視し、内容証明郵便にも反応せず、滞納が3ヶ月を超えて長期間放置されると、債権者(金融機関)はいよいよ最終手段に出ます。ここから先は、話し合いではなく法律の力による強制回収です。
ある日突然、自宅に裁判所から一通の封書が届きます。これが法的措置の始まりです。
裁判所からの書類は、一般的な郵便ではなく特別送達という特殊な方法で郵送されます。
これは郵便配達員から手渡しで届けられ、受け取りのサイン(または印鑑)が必須となります。居留守を使って受け取らなければいいという考えは通用しません。
受け取りを拒否しても、その場に置いていくことで配達完了とみなされる法的効力(付郵便送達など)があります。
最もやってはいけないのが放置することです。
支払督促を受け取ってから2週間以内に、異議申し立てをしない、あるいは訴訟の呼び出しを無視して裁判所に行かない(答弁書を出さない)場合、債権者の主張が100%全面的に認められます。
つまり、「借金を全額、一括で返せ」という判決が確定し、債権者はあなたに対していつでも強制執行(差し押さえ)を行える権利を手に入れます。
判決が確定すると、債権者は予告なしにあなたの財産を差し押さえる強制執行の手続きに入ります。
銀行口座が特定されている場合、口座そのものが凍結され、預金残高が借金の回収に充てられます。
特に給与振込口座は、給料が入金された瞬間に差し押さえられ、家賃や光熱費を引き落とすための資金がゼロになる可能性があるでしょう。
持ち家がある場合、競売にかけられて強制的に売却され、住む場所を失うリスクがあります。また、高級車や貴金属などの動産(動かせる財産)も、執行官によって差し押さえの対象となる場合があります。
滞納が長引けば契約の仕組み上、必然的に家族や友人を巻き込むことになります。また、正規の借入先を失ったあなたを狙う、危険な罠も待ち構えています。
消費者金融のカードローンは原則として保証人不要ですが、もし銀行系の一部ローンや、おまとめローンなどで連帯保証人を設定している場合、事態は極めて深刻です。
主債務者が滞納を続け、期限の利益を喪失(一括返済を求められる状態)すると、債権者は即座に連帯保証人へ請求を行います。
連帯保証人には「まずは本人に請求してくれ」と言う権利(催告の抗弁権)も、「本人の財産を先に差し押さえてくれ」と言う権利(検索の抗弁権)もありません。
あなたと同じ義務を負い、あなたの代わりに即座に全額を支払わなければなりません。
親、兄弟、親友などが保証人になっていた場合、彼らの生活を突然脅かすことになります。
迷惑はかけないからとハンコをもらった相手に、数百万の借金を肩代わりさせる。この裏切りにより、信頼関係は一瞬で崩壊し絶縁状態になるケースが後を絶ちません。
保証人がいない場合でも、家族への影響は避けられません。特に、家族カードと子供の進学に関するトラブルは、家庭内で隠し通すことが難しい問題です。
あなたが本会員として契約し、配偶者やお子さんに家族カードを持たせている場合、本会員がブラックリスト(信用情報の事故登録)に入ると、紐付いている家族カードもすべて強制解約・利用停止となります。
お子さんが大学や専門学校へ進学する際、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を借りるケースは一般的です。
しかし、親の信用情報に傷がついていると、奨学金の連帯保証人になる審査に通りません。
この場合、保証人を立てずに保証料を支払う機関保証を利用すれば借りることは可能ですが、余計な出費が必要になります。
また、銀行の教育ローンは親名義で組むものが多いため、審査否決により、入学金や授業料が用意できず子供の進学を諦めさせるような結末を招きかねません。
ブラックリスト入りし、どこからもお金を借りられなくなった時、スマホの画面に現れるのが「ブラックでも融資可能」「審査なしで即日振込」といった甘い広告です。これらは100%、違法な貸金業者と言えます。
正規の業者は年率20%が上限ですが、闇金は「トイチ(10日で1割=年利365%)」や「トサン(10日で3割=年利1095%)」といった異常な金利を要求します。一度借りれば、利息を払うだけで精一杯となり、元金は一生減りません。
また、彼らは法律を守る気がないため、夜中の電話、実家への嫌がらせ、職場への怒鳴り込みなど、手段を選ばない取り立てを行います。
返済ができなくなると、「返済を待つ代わりに銀行口座を作って送れ(口座売買)」や「荷物を受け取るバイトをしろ(受け子)」と持ちかけられます。
これらに従うと、あなたは被害者ではなく犯罪者として警察に逮捕されることになります。
日本の法律には、借金問題で生活が破綻しないためのセーフティーネットが必ず用意されています。
現在のあなたの状況に合わせて、今すぐ取るべきアクションを確認していきましょう。
「数日遅れているだけ」「次の給料日には払える」という段階であれば、法的措置を心配する必要はありません。しかし、無断での遅延は信用を大きく損ないます。
最も効果的なのは、業者から電話がかかってくる前に、自分から連絡を入れることです。
「〇月〇日に入金します」と支払う意思と具体的な日付を伝えれば、それまでの間、督促の電話は止まります。誠意ある対応を見せることで、心象が悪くなるのを最小限に防げます。
今月はどうしても全額は厳しいという場合でも、無視せずに相談してください。
金融機関によっては、とりあえず利息分だけの入金で、今月分の返済扱いにする(元金の返済は翌月に回す)といった柔軟な対応をしてくれるケースがあります。
電話で話すのが怖い、気まずいという方は、会員専用サイトや公式アプリを確認してください。
アコム、プロミス、アイフル、JCBなどの大手はスマホだけで、返済日の変更や返済約束の手続きが完結するシステムが整備されています。
失業、病気、減給など、根本的な生活苦によって返済の目処が立たない場合は、借金を返すための借金をするのではなく、公的な支援を頼ってください。
各自治体の社会福祉協議会が窓口となっている公的な貸付制度です。低所得者や失業者を対象に、無利子または極めて低い金利で生活費を借りることができます。
借金の返済に直接充てることはできませんが、生活基盤を立て直すための支えとなるでしょう。
借金が減らないが、弁護士に頼むお金もないという方は、公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)に相談してください。
公正中立な立場から、無料で家計管理の改善アドバイスを受けられます。また、状況によっては任意整理の手続きを無料で行ってくれるケースもあるでしょう。
「もう何ヶ月も滞納している」「返済額が給料を超えている」という場合、自力での解決は不可能です。一刻も早く法律の専門家(弁護士・司法書士)に相談し、債務整理を検討すべきです。
専門家に依頼した瞬間に発生する最大のメリットが、受任通知です。
専門家が業者に対し「私が代理人になりました」という通知を送ると、貸金業法に基づき、業者からの本人への督促・取り立てが法律上禁止され、即日ストップします。
専門家はあなたの収入や借金額に応じて、最適なプランを提案してくれます。
もし、あなたが5年以上一度も返済しておらず、裁判も起こされていない場合、時効によって返済義務が消滅している可能性があります。 ただし、時効を成立させるには専門的な手続き(時効の援用)が必要です。
うっかり業者に連絡して「少し待ってください(債務の承認)」と言ってしまうと、時効がリセットされてしまいます。
5年以上前の借金で督促が来た場合は、絶対に自分で対応せず、直ちに専門家へ相談してください。