湖尻純(こじり じゅん)
だれでもモバイル株式会社 代表取締役
「審査不要・保証人不要でも誰でもスマホを持てる社会」を目指し、通信業界に新しい選択肢を提供。いわゆる携帯ブラックと呼ばれる方々にも通信インフラを提供できるよう、レンタルスマホやMVNO事業の改革に取り組んできた第一人者。現在は、生活保護受給者や生活に困難を抱える方々に向けて、家具・賃貸・通信など生活基盤を支えるサービスをワンストップで展開。
「エイワは怖い」「怒鳴られる」「自宅まで取り立てに来る」——。インターネット上には、消費者金融「エイワ」に関する様々な噂が飛び交っています。
なぜ、エイワの未払いはこれほどまでに心理的プレッシャーが大きいのでしょうか。 それは、エイワが業界でも珍しい「対面与信」というスタイルを貫いているからです。機械的なスコアリング審査で落とされた人であっても、店舗で直接面談し、人柄を見て融資を行う。
この「情」による貸付は、借りる側にとっては救いですが、ひとたび返済を破れば、裏切られたという強い反作用を生みます。
エイワは「説教をする」と言われるほど、顧客と向き合う業者です。だからこそ、滞納に対する姿勢も厳格かつスピーディーです。少しくらい待ってくれるだろうという甘えは通用しません。
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多くの借金経験者が口を揃えて「エイワだけは怒らせてはいけない」と語るのには、明確な理由があります。それは、エイワが大手消費者金融とは全く異なるビジネスモデルを採用しているからです。
エイワの最大の特徴は、時代に逆行するかのような徹底した、対面与信です。アコムやアイフルなどの大手が、インターネット完結のスマートな審査や無人契約機を主力とする中、エイワは「来店必須」を原則としています。
これは、信用情報機関のデータ(スコアリング)だけでは融資不可となる、いわゆるブラックな状態の人に対しても、担当者が直接会い、その人の事情や人柄、返済意欲を見て融資判断を行う、人情融資です。
機械的な審査を行う大手であれば、滞納は単なるデータ上の処理ですが、対面で情を通じて貸したエイワの担当者にとって、滞納は「約束を破られた」という個人的な心証の悪化に直結します。
ネット上の口コミで「説教された」「怒鳴られた」という声が散見されるのはこのためです。担当者は貸金業法の範囲内で、人間対人間のコミュニケーションとして、「なぜ約束を守れないのか」と強く詰める傾向があります。
暴力的な取り立ては法律で禁止されていますが、法律のギリギリのラインで道義的責任を問う強硬な姿勢こそが、エイワの督促が怖いと言われる所以です。
期日を過ぎると、すぐに携帯電話へ連絡が入ります。
大手のコールセンターからの事務的な連絡とは異なり、エイワでは融資を担当した店舗のスタッフから直接電話がかかってくるケースが一般的です。「〇〇さん、どうされましたか?」という問いかけには、システム化された対応にはないプレッシャーがあります。
電話に出ずに無視を続けていると、自宅へ督促状や催告書が届きます。封筒には社名が入っていないこともありますが、中身は厳しい文言での請求です。
また、大手消費者金融がコストや効率の面から訪問回収をほぼ廃止しているのに対し、地域密着型で店舗を展開するエイワは、連絡がつかない顧客に対して自宅訪問を行う可能性があります。
もちろん、早朝や深夜の訪問、張り紙などは違法ですが、日中の訪問でインターホンを鳴らされるだけでも、家族や近所に借金がバレるリスクは跳ね上がるでしょう。
エイワの督促でもう一つ特筆すべき点は、法的手続きへの移行スピードが早いことです。 元々リスクの高い顧客層を相手にしているため、回収の見込みがないと判断すれば、早々に裁判所を通じた回収に切り替えます。
ある日突然、裁判所から特別送達という特殊な郵便で「支払督促」や「訴状」が届きます。これを受け取ってなお2週間以内に異議申し立てなどの対応をしないと、相手の言い分が全面的に認められ、仮執行宣言付支払督促が確定します。
ここまで来ると、エイワはいつでもあなたの財産を差し押さえることができます(強制執行)。 最も恐ろしいのは給料の差し押さえです。勤務先に裁判所からの通知が届くため、借金トラブルが会社に完全に知れ渡ります。
エイワからの久しぶりの督促状に震え上がっているあなたに、一つだけ朗報があります。
もし、その借金が数年以上前のものであれば、法律の力を借りて「1円も支払わずに解決」できる消滅時効という制度があります。
借金には、賞味期限のようなものが存在します。消費者金融からの借入は、商事債権にあたり、原則として最終取引日(最後に返済した日、または返済期日)から5年が経過すると、時効によって消滅させることができるでしょう。
一般的な金融業者は、回収が難しいと判断した古い債権を、債権回収会社(サービサー)へ売却することが多いなかで、エイワは少し違います。エイワは債権譲渡をあまり行わず、自社で長期間にわたり請求を続ける傾向があります。
そのため、忘れた頃にエイワ名義の封筒が届いたというケースが非常に多いのです。この場合、恐怖を感じるのではなく「5年経っているかもしれない」と冷静になることが重要です。放置期間が長ければ長いほど、時効が成立している可能性は高まります。
では、実際に時効期間が経過しているかどうか、どう判断すればよいのでしょうか。
届いた督促状(催告書、和解提案書など)を捨てずに、以下のキーワードの日付を確認してください。
これらの日付を見て、現在の日付まで「5年以上」経過している場合、時効が完成している可能性が極めて高いです。
ただし、過去に裁判を起こされて判決を取られている場合は、時効期間が「10年」に延長されているため注意が必要ですが、まずは手元の書類の日付を確認することが第一歩です。
ここで最も重要な警告をします。 5年が経過していても、自動的に借金が消えるわけではありません。
「時効の援用」という手続きをする必要があります。そして、この手続きをする前に以下の行動を一つでも取ってしまうと、時効期間がリセット(更新)され、振り出しに戻ってしまいます。
「少額でもいいから振り込んで誠意を見せて」と言われ、1,000円だけ振り込む。
これは、借金があることを認めた(債務の承認)ことになり、その瞬間からまた5年のカウントダウンが始まります。
「今は無理ですが、来月なら払えます」「もう少し待ってください」と発言するのも、債務の承認です。
「利息はカットするから元金だけでいい」という甘い誘いに乗ってはいけません。和解書にサインをした時点で、時効の主張はできなくなります。
エイワの担当者は交渉のプロです。時効が近い、あるいは過ぎていることを知った上で、電話口で言葉巧みに「払う意思」を言質として取ろうとします。
したがって、自分からエイワに電話をかけるのは絶対にNGです。時効の可能性があるなら、沈黙を守り、専門家に代わってもらいましょう。
調査の結果、残念ながら時効期間(5年)が経過していなかった、あるいは過去に裁判を起こされて時効が中断していた場合でも、諦める必要はありません。
法律に基づいた、債務整理を行うことで、返済負担を劇的に軽減できます。ただし、エイワは他の消費者金融と比べて交渉のハードルが高いことで有名です。
任意整理とは、裁判所を通さずに弁護士や司法書士が業者と直接交渉し、将来発生する利息のカットや分割払いの回数を取り決める手続きです。
大手(アコムやプロミス等)であれば、5年(60回)程度の長期分割に応じることが多いですが、エイワの対応は非常にシビアです。
多くの司法書士事務所が指摘するように、エイワは和解条件として、短期間での返済(例えば3年以内)を求めてきたり、頭金の支払いを要求してきたりするケースが目立ちます。対面融資で情をかけて貸した分、借りたものは早く返すのが筋というスタンスを崩さないでしょう。
しかし、専門家が粘り強く交渉することで、将来利息の全額カット(今後、利息は0%にする)という最低限かつ最大の成果を勝ち取ることは十分に可能です。
長期間滞納している場合、借金の内訳は、元金よりも遅延損害金(ペナルティ)の方が大きくなっていることがあります。
理想は「元金だけの返済にしてほしい(元金和解)」という交渉ですが、エイワはこの点でも強硬です。基本的には、元金+和解日までの経過利息・損害金の全額支払いを求めてきます。
「元金だけなら一括で払える」といった好条件を提示できる場合は別として、単なる分割交渉で損害金を全額カットさせるのは至難の業です。
とはいえ、専門家が介入することで、法外な要求を適正な計算(引き直し計算)に基づいた金額に落ち着かせ、現実的に支払い可能なラインで合意を取り付けることは可能でしょう。
もし、あなたがエイワと2007年(平成19年)以前から取引をしている場合、形勢が逆転する可能性があります。かつての「グレーゾーン金利」で返済していた期間が長ければ、払いすぎた利息(過払い金)が発生しているからです。
この場合、正しい金利で計算し直す(引き直し計算)ことで、現在の借金が大幅に減る、あるいはゼロになり、逆にお金が戻ってくるケースもあり得ます。エイワは古い顧客も多いため、この「過払い金」が見落とされているケースが意外と多いのです。
「エイワから要求された毎月の返済額が高すぎて払えない」「借金総額が大きすぎる」 このように任意整理での解決が難しい場合は、個人再生や自己破産を検討します。
これらは裁判所を通す手続きであり、エイワ一社だけでなく、全ての借金が対象となるでしょう。特に自己破産が認められれば、借金の支払い義務は(税金などを除き)全て免除されます。
エイワ側がどれほど強硬に回収を主張しても、裁判所の決定には逆らえません。絶対に返さなければならないと追い詰められる前に、これらの制度を利用して生活をリセットすることも解決策の一つです。