湖尻純(こじり じゅん)
だれでもモバイル株式会社 代表取締役
「審査不要・保証人不要でも誰でもスマホを持てる社会」を目指し、通信業界に新しい選択肢を提供。いわゆる携帯ブラックと呼ばれる方々にも通信インフラを提供できるよう、レンタルスマホやMVNO事業の改革に取り組んできた第一人者。現在は、生活保護受給者や生活に困難を抱える方々に向けて、家具・賃貸・通信など生活基盤を支えるサービスをワンストップで展開。
生活保護を受給中(または申請予定)の方が、保証会社不要で賃貸物件を借りるための方法を解説します。
また、生活保護受給者だからこそ使える、代理納付制度についてもご説明します。
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ひと昔前まで、賃貸契約といえば連帯保証人を立てるのが一般的でしたが、時代は変わりました。
かつては親や親族、場合によっては会社の上司が連帯保証人を引き受けていました。
しかし、現代では高齢化により親が年金暮らしであったり、核家族化や人間関係の希薄化によって「他人に迷惑をかけたくない」「頼める人がいない」というケースが激増。
連帯保証人を準備すること自体のハードルが非常に高くなっています。
大家さんにとって、最大の経営リスクは家賃滞納です。空室であることよりも、入居者がいるのに家賃が入ってこない状況の方が、法的な手続きも必要となり深刻です。
この滞納リスクを確実に回避するための保険として、保証会社が大家さん側から強く支持されるようになりました。
保証会社の仕組みはシンプルです。入居者は大家さんではなく保証会社と契約し、保証料(相場は家賃の50%〜100%程度)を支払います。
万が一家賃を滞納した場合、保証会社が大家さんに家賃を立て替え払いし、その後、保証会社が入居者にその分を請求するのです。
審査では主に支払い能力が見られ、多くの場合、1年ごとに1万円程度の更新料も発生します。
保証会社が必須とされる中で、なぜ生活保護受給者は審査で不利になってしまうのでしょうか。そこには誤解と現実的な課題が混在しています。
大家さんや不動産会社の中には「無職=収入が不安定」と短絡的に判断してしまう人がいます。しかしこれは、賃貸業界における大きな誤解です。
生活保護費の「住宅扶助」は、国(自治体)から毎月決まった額が確実に支給されます。景気に左右されず、倒産による給与未払いリスクもない、いわば日本で最も安定した収入源の一つです。
残念ながら、「生活保護受給者=生活が荒れている、近隣トラブルを起こしやすい」といった、事実に基づかない差別的な偏見が根強く残っている場合があります。
これは人柄とは全く関係のない、不当なレッテル貼りに他なりません。
保証会社の中には信販系と呼ばれる、クレジットカード会社や消費者金融系の企業があります。これらの会社は、審査の際に個人の信用情報(CICなど)を照会するでしょう。
過去にクレジットカードの滞納、借金の延滞、自己破産などの金融事故(いわゆるブラックリスト)があると、審査通過は絶望的になります。
生活保護を受給するに至った経緯として、こうした金融問題を抱えていた方は少なくないため、これが最も現実的かつ深刻な課題になります。
では、なぜわざわざ保証会社不要の物件にこだわるべきなのでしょうか。それには明確なメリットがあります。
理由は単純明快、費用がかからないからです。
ただでさえ敷金・礼金・引越し代と出費がかさむ中、数万円(家賃1ヶ月分相当)の保証料を削減できるのは、経済的に非常に大きなメリットです。
保証会社不要の物件は、大家さん自身が「この人なら大丈夫」と判断して入居を決めるケースが多いです。機械的な審査ではなく、人柄や状況を直接説明できる可能性があります。
特に後述する「代理納付」を提案すれば、大家さんにとっては保証会社より確実なため、審査が有利に進むこともあるでしょう。
大家さんが直接審査する場合、あなたの過去の信用情報(CIC)を照会することはありません。
大家さんが知りたいのは「過去に何があったか」ではなく「これから家賃を払ってくれるか」です。信販系保証会社の「自動的な審査落ち」を回避できる、これは最大のメリットと言えるでしょう。
保証会社の壁を乗り越える方法は、一つではありません。生活保護受給者の方が現実に使える、4つの具体的な選択肢を詳しく解説します。
保証会社が普及する前は、これが日本の賃貸契約のスタンダードでした。もし頼れる方がいるのであれば、今でも有効な手段です。
大家さんから連帯保証人として認められるには、主に「安定した収入があること」が求められます。
一般的には、現役で働いている親族(親や兄弟)に依頼するケースが最も多いです。友人・知人でも可能ですが、大家さん側の審査は厳しくなる傾向があるでしょう。
現代において、この「頼める親族がいない」という問題こそが、保証会社必須の流れを作った最大の理由です。
親族が高齢で年金収入のみであったり、疎遠であったり、あるいは迷惑をかけたくないという理由で、連帯保証人を立てられないケースは非常に多くなっています。
この二つは、似ているようで責任の重さが天と地ほど違います。
保証人は「まず本人に請求してください」「本人の財産を差し押さえてください」と主張できる権利があります。
それに対して連帯保証人は、これらの権利が一切ありません。
大家さんから請求されたら、「本人の代わりに」ではなく「本人と全く同じ立場」で、即座に支払う義務を負います。
賃貸契約で求められるのは、ほぼ100%が責任の重い「連帯保証人」です。だからこそ、依頼するのも引き受けるのも非常に慎重さが求められるでしょう。
連帯保証人も立てられない場合、次に探すべきは「保証会社も保証人も、両方不要」という物件です。これには大きく3つの種類があります。
生活保護受給者にとって、条件さえ合えば最強の選択肢となり得るのがUR賃貸住宅です。「礼金なし・仲介手数料なし・更新料なし・保証人なし」の4拍子が揃っているため、初期費用を劇的に抑えられます。
通常は「家賃の4倍の月収」などの収入基準がありますが、生活保護受給者の場合は特例が適用されます。
「住宅扶助の支給額が、入居希望物件の家賃以下であること」が証明できれば、この収入基準をクリアできるでしょう。
全国のUR営業センター窓口、または「UR賃貸住宅」の公式サイトから検索・申し込みが可能です。
自治体が運営する公営住宅も、保証人は原則不要です。最大のメリットは家賃の安さです。
収入(所得)に応じて家賃が変動するため、生活保護受給者の場合は非常に安価な家賃で入居できる可能性が高いと言えます。
公営住宅は人気があるため、応募は抽選となることがほとんどです。すぐに入居できるとは限らず、数ヶ月〜数年待つこともあります。
また、物件によっては築年数が古く、老朽化が進んでいる場合もあるでしょう。
数は少ないですが、民間賃貸の中にも大家さん審査のみでOKという物件が眠っています。
これは大家さんが自ら募集していたり、地域密着型の昔ながらの不動産会社が管理していたりする物件に多く見られます。
機械的な審査ではなく、大家さんが「この人なら大丈夫」と人柄や状況を判断してくれるでしょう。
住宅探しが困難な人を公的にサポートする仕組みが、全国で整備されつつあります。
法律(住宅セーフティネット法)に基づき、低所得者、高齢者、障害者、そして生活保護受給者などは、「住宅の確保に特に配慮を要する者」と定められています。
あなたは公的な支援の対象者であると、まず認識することが重要です。
各都道府県や市区町村には、NPO法人や不動産団体が居住支援法人として指定され、活動している場合があります。
まずは「(あなたの自治体名) 居住支援」で検索し、相談窓口を探してみましょう。
自治体によっては、保証会社を利用せざるを得ない場合に、保証料を助成(補助)してくれたり、自治体自身が家賃債務を保証する制度(例:札幌市の居住支援)を設けていたりする場合があります。
これも福祉事務所や自治体の窓口で確認する価値があるでしょう。
通常、生活保護費は「生活扶助」「住宅扶助」などが合算されて受給者の口座に振り込まれ、そこからご自身で家賃を支払います。
代理納付は、その中の「住宅扶助(家賃分)」だけを、福祉事務所が受給者の代わりに大家さんの口座へ直接振り込む制度です。
入居者が使い込んでしまったり、払い忘れたりするリスクが物理的にゼロになります。
国(自治体)が毎月、自動的かつ確実に家賃を振り込んでくれるのですから、高額な保証料を払って保証会社を入れる必要がなくなるでしょう。大家さんにとって、これほど安心な仕組みはありません。
保証会社の最大の役割は、家賃滞納の保証です。代理納付は、その役割を国が肩代わりするのと同じ効果を持ちます。
だからこそ、これを理由に「保証会社は不要にしてもらえませんか?」と交渉する強い根拠になるでしょう。
代理納付の利用は、担当のケースワーカーに相談し申請します。
不動産会社や大家さんには、「家賃のお支払いは、福祉事務所から大家様の口座へ直接お振り込みする『代理納付』を利用します。そのため、家賃滞納のリスクは一切ご心配ありません」 と、伝えてください。
この一言が、審査の流れを大きく変える可能性があるでしょう。
住まい探しは、物件という「モノ」探しであると同時に、信頼できる「人(不動産会社)」探しでもあります。特に生活保護受給者の場合、この人選びが成功の9割を決めるでしょう。
専門または理解のある不動産会社は、一般的な会社と以下の点が決定的に違います。
1つ目は専門知識です。
生活保護の制度(住宅扶助、代理納付、一時扶助など)を正確に理解しています。
2つ目は物件数です。
「生活保護受給者OK」の物件情報をあらかじめ多数保有しています。
3つ目は交渉力です。
大家さんに対し、「代理納付を使えば家賃滞納リスクはゼロですよ」と専門的な説明で説得するノウハウを持っています。
4つ目は連携力です。
福祉事務所のケースワーカーとのやり取りにも慣れており、書類作成や手続きが非常にスムーズになるでしょう。
良い不動産会社は、自社のウェブサイトなどで「生活保護受給者の方、歓迎」「福祉連携」「生活困窮者支援」といったキーワードを明確に打ち出しています。
ケースワーカーは管轄地域で多くの事例を見ています。担当のケースワーカーに「過去に生活保護受給者の方の入居実績がある、親切な不動産会社さんを知りませんか?」と尋ねましょう。
彼らから紹介された不動産会社であれば、福祉事務所との連携も実績があり、話がスムーズに進むメリットがあります。
不動産ポータルサイト(SUUMOやHOME’Sなど)は、あくまで「当たりをつける」ために利用します。
まずは「こだわり条件」のチェックボックスを活用します。
「保証人不要」や、もしあれば「保証会社不要」の項目を探してチェックを入れましょう。また、「UR賃貸」で絞り込むのも有効です。
チェックボックスだけでなく、物件の紹介文などを直接検索できる「フリーワード検索」は宝の山です。
「生活保護可」「福祉相談」「代理納付」といったキーワードで検索すると、チェックボックスでの検索では漏れてしまう「理解ある大家さん」の物件がヒットすることがあります。
ポータルサイトで「保証人不要」と書かれている物件の9割以上は、「(親族などの)連帯保証人は不要です。その代わり、指定の保証会社に加入することが必須です」という意味です。
保証人不要という言葉だけを鵜呑みにせず、必ず詳細欄の備考や契約条件を確認し、「保証会社への加入要」と書かれていないかを注意してください。
気になる物件や不動産会社を見つけたら、最初に電話や訪問の冒頭で、以下の3点を誠実かつ明確に伝えましょう。
「貸してください」と下手に出る(卑屈になる)必要も、逆に「借りられて当然だ」と横柄になる必要も一切ありません。
「条件に合う物件があれば、ぜひ紹介していただきたい」という、対等な相談の姿勢と丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
これら2つは、民間の不動産会社ではなく、専用の窓口で探す必要があります。
UR賃貸は、UR都市機構の公式サイト「UR賃貸住宅」から探すのが唯一の正規ルートです。 サイト内で希望のエリアや家賃(住宅扶助の上限額内)で検索します。
生活保護受給者の場合、収入基準の特例が使えるため、物件詳細に書かれている「月収○○万円以上」という条件は気にせず、まずは窓口で相談することが重要と言えます。
公営住宅(市営・県営住宅)は、お住まいの自治体(市役所、区役所)のウェブサイトや、広報誌で募集情報が告知されます。
募集は、定期募集(年に数回、抽選)と随時募集(空きが出次第、先着順など)があります。窓口は「住宅課」「建築課」といった名称の部署であることが多いため、まずは自治体の総合窓口で確認しましょう。
1つ目は最強の武器である代理納付制度を理解し、積極的に提案すること。大家さんにとって家賃滞納リスクがゼロになる、保証会社より強力な安心材料です。
2つ目はUR賃貸、公営住宅、居住支援制度など、「保証人・保証会社が不要」な選択肢を広く検討すること。保証会社必須の民間賃貸だけに絞る必要はありません。
3つ目は一人で悩まず、担当ケースワーカーや「生活保護専門・理解のある」不動産会社に必ず相談すること。彼らはあなたの状況を理解し、手続きや大家さんとの交渉をスムーズに進めてくれる最強のパートナーです。
住まい探しは、新しい生活の第一歩です。あなたが安心して暮らせる、あなただけの住まいを必ず見つけましょう。