湖尻純(こじり じゅん)
だれでもモバイル株式会社 代表取締役
「審査不要・保証人不要でも誰でもスマホを持てる社会」を目指し、通信業界に新しい選択肢を提供。いわゆる携帯ブラックと呼ばれる方々にも通信インフラを提供できるよう、レンタルスマホやMVNO事業の改革に取り組んできた第一人者。現在は、生活保護受給者や生活に困難を抱える方々に向けて、家具・賃貸・通信など生活基盤を支えるサービスをワンストップで展開。
生活保護の受給額は一律ではありません。住んでいる地域(級地)、世帯の人数、年齢によって大きく変動します。
目安としては以下の通りです。
しかし、インターネット上で散見される平均受給額だけを見て、安心したり諦めたりするのは早計です。
「生活保護を受けた場合、結局いくら手元に入るのか?」という現実的な金額を解説していきます。
本コンテンツは誰モバ事務局が独自の基準に基づき制作しております。ECサイト、メーカー、キャリア等から送客手数料を受領しています。このページにはPRリンクが含まれております。
生活保護の金額は、国が定めた最低生活費によって決まります。これは、健康で文化的な最低限度の生活を送るために必要な費用として算出された基準額です。
日本で最も物価が高い地域(東京都23区など)における支給額の目安は、単身者で約13万円、子供がいる世帯では約20万円以上となります。
しかし、この金額は生活費(食費など)と家賃の合計であり、全員が同額をもらえるわけではありません。ここでは具体的なモデルケースを用いて、その内訳と数字で解説します。
東京都23区は「1級地-1」という最も支給水準が高い地域に分類されます。
この13万円という数字は、大きく2つの要素で構成されています。
住宅扶助(上限53,700円): アパートの家賃。
注意点: これは「53,700円が必ずもらえる」わけではありません。「実費支給」のため、家賃が40,000円のアパートに住んでいれば40,000円のみ支給されます。逆に上限を超えた家賃の物件には原則住めないため、転居指導の対象となります。
高齢者の場合、基礎となる生活扶助額は若年層より低く設定されています(食量などが少ないとみなされるため)。
しかし、それを補う形で高齢者加算が付与されるケースがあるため、総額としては若年層と同等か、若干高くなる傾向にあります。
シングルマザー(母子家庭)の場合、支給額は大幅に増額されます。
東京都23区・母子世帯(母30代+子1人)の目安
母子家庭の生活保護費には、以下が含まれます。
よくある誤解ですが、児童扶養手当(母子手当)と生活保護は「二重取り」できません。
生活保護は、足りない分を補う制度であるため、児童扶養手当として受け取った4万円強は、収入とみなされ生活保護費から差し引かれます。
結果として手元に残るお金の総額が、生活保護の基準額(約21万円)になるよう調整されます。
「1人で13万円なら、2人なら26万円もらえるのか?」というと、そうではありません。世帯人数が増えると、光熱費や食費の共有による効率化(スケールメリット)が働くため、1人あたりの支給額は少しずつ減るように計算されます。
これを逓減率(ていげんりつ)と呼びます。
生活保護の金額を決定する最大の要因の一つが級地です。
国は物価や生活水準に合わせて、全国の市町村を「1級地-1」から「3級地-2」までの6段階にランク分けしています。同じ「30代単身・無職」であっても、東京に住んでいるか、地方の村に住んでいるかで支給額には数万円の差が出るのです。
地方に行くほど支給額は下がりますが、その分家賃相場や物価も安いため、実質的な生活水準の格差は額面ほど大きくないように設計されています。
ご自身の住んでいる地域がどの級地に当たるかを知ることで、より正確な金額をイメージできるはずです。
生活保護費は、役所の担当者が適当に決めているわけではありません。法律に基づいた計算式が存在します。
この仕組みを理解すれば、自分がいくらもらえるのか、あるいはなぜもらえないのかを自分で判断できるようになります。
生活保護制度を理解する上で、最も重要なのが以下の計算式です。
この式が意味するのは、生活保護は「足りない分を補う制度」だということです。定額給付金のように、全員に一律の金額が配られるわけではありません。
国が定めた、その世帯が暮らすために必要な最低限の費用(最低生活費)と、あなたの世帯に入ってくるすべての収入を天秤にかけます。
計算式の基準となる最低生活費は、どんぶり勘定ではなく、以下の8つの扶助を積み上げて算出されます。これらは必要に応じて組み合わされます。
特に重要なのが、毎月の現金支給のメインとなる、生活扶助と住宅扶助です。
普段の生活費に充てられる費用です。さらに細かく2つに分かれています。
アパートの家賃など、住居の確保に必要な費用です。
現金で振り込まれるもの以外にも、以下のような支援があります。
基本の生活扶助だけでは生活が困難な特別な事情がある場合、基本料金に上乗せされるオプション料金のような「加算」がつきます。これが、人によって受給額が違う大きな理由です。
最低生活費は個人の状況に合わせてブロックのように積み上げられ、そこから自分の収入を引いた額が、口座に振り込まれる生活保護費となります。
生活保護を受給すると、これまで毎月支払っていた多くの請求書から解放されます。
これらを金額換算すると、月額数万円〜十数万円相当の価値がプラスされているのと同じ効果があります。
生活保護受給者にとって最大のセーフティーネットと言えるのが、医療扶助です。
通常、私たちは病院に行くと医療費の3割を窓口で支払います。しかし、生活保護受給者は、国民健康保険証の代わりに「医療券」を使用することで、診察代、薬代、手術費、入院費がすべて無料(0円)になります。
特に、糖尿病や高血圧などの持病がある方や、通院頻度が高い高齢者にとって、このメリットは計り知れません。実質的に、月額数万円以上の価値があると言えるでしょう。
医療費以外にも生活保護受給中は、公租公課(税金など)の支払いが広範囲で免除されます。
これらを合計すると、毎月2〜3万円程度の固定費が浮く計算になります。
生活保護の申請にあたり、現在住んでいる家賃が高すぎる場合や、家がない(ネットカフェ難民など)場合は、規定内の家賃のアパートへ引っ越すことになります。
この際にかかる初期費用も、一時扶助として支給される場合があります。
※これらは事前の申請と許可が必須です。後から請求は認められないため、必ずケースワーカーへの相談が必要です。
ここで、「手取り15万円で働く単身会社員(Aさん)」と、「生活保護受給の単身者(Bさん・受給額13万円)」を比較をしてみましょう。どちらが経済的に余裕があるでしょうか?
手取り15万円から家賃(5万円)、医療費、NHK、年金・税金の残り、通勤費、仕事の付き合い、被服費などを支払います。手元に自由に残るお金は数万円かもしれません。
家賃(5.3万円)は支給額に含まれておりそのまま払います。残りの約7.6万円(生活扶助)から食費と光熱費を払います。しかし、医療費は0円、税金・年金も0円です。急な出費のリスクが圧倒的に低いため、精神的な資金繰りの余裕はBさんの方が安定しているケースが多々あるのです。
これは「働かない方が得」という話ではありません。
生活保護とは、これだけ手厚い「見えない支給」によって守られた状態で、安心して病気の治療や就職活動に専念するための土台です。
病気や怪我、不況による失業、家庭の事情など、予期せぬトラブルで生活が困窮することは、誰の身にも起こり得ます。
そんな時、再び自分の足で立ち上がるまでの間、国が最低限の生活を支えるための、セーフティーネットが生活保護制度であり、日本国憲法第25条で保障された国民の正当な権利です。
インターネット上の簡易計算機や、不確かな噂だけで「自分は対象外だ」「金額が少なすぎる」と自己判断して諦めてしまうのは、あまりにも勿体ないことです。
今の生活費が足りないと感じているなら、まずは福祉事務所へ相談してください。申請に迷っているなら、支援団体や弁護士の手を借りて、正確な査定を受けてください。