湖尻純(こじり じゅん)
だれでもモバイル株式会社 代表取締役
「審査不要・保証人不要でも誰でもスマホを持てる社会」を目指し、通信業界に新しい選択肢を提供。いわゆる携帯ブラックと呼ばれる方々にも通信インフラを提供できるよう、レンタルスマホやMVNO事業の改革に取り組んできた第一人者。現在は、生活保護受給者や生活に困難を抱える方々に向けて、家具・賃貸・通信など生活基盤を支えるサービスをワンストップで展開。
「年金をもらっているから、生活保護の対象にはならないだろう」と、諦めないでください。
年金を受け取っていても、生活保護を受給することは可能です。
あなたの年金収入(老齢年金、障害年金、遺族年金など)の月額が、国が定める「最低生活費」という基準額を下回る場合、その不足している差額分を生活保護費として受け取ることができます。
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日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進み、特に一人暮らしの高齢者世帯は増加の一途をたどっています。
令和5年度の厚生労働省の調査によると、国民年金(老齢基礎年金)の平均受給月額は約5万8千円、厚生年金(国民年金を含む)でも約14万7千円というデータがあります。
ここから税金や社会保険料が引かれると、手元に残る金額はさらに少なくなり、さらに近年の物価高騰で、多くの高齢者が年金だけでは暮らせないという現実に直面しています。
かつて金融庁の報告書がきっかけで話題となった「老後2,000万円問題」は、公的年金だけを頼りに豊かな老後を送ることがいかに困難であるかを、社会全体に突きつけました。
このような社会背景から、年金だけでは補いきれない生活費を支える最後のセーフティーネットとして、生活保護制度の重要性が増しているのです。
生活保護法という法律の第一条には、「国が生活に困窮するすべての国民に対し、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障する」と明記されています。
これは、日本国憲法第25条で保障された「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)」を実現するための、国の責務であり、国民の正当な権利です。
生活保護制度とは、病気や高齢、障害など様々な事情で生活に困窮している方に対し、国が責任をもって「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立を助けることを目的とした最後のセーフティーネットです。
以下の4つの原理に基づいて運営されています。
そして、生活保護は単にお金が支給されるだけではありません。
私たちの生活で必要となる様々な費用に対応するため、以下の「8つの扶助」で構成されています。
このように、生活保護は金銭的な支援だけでなく、医療や介護の面でも生活を強力に支える総合的な制度なのです。
年金は、主に以下の3種類に分けられます。
原則として65歳から受け取れる、高齢期の生活を支えるための年金です。
保険料を納めた期間などに応じて「国民年金(老齢基礎年金)」や、会社員・公務員だった方が上乗せで受け取る「厚生年金(老齢厚生年金)」があります。
一般的に「年金」というと、この老齢年金を指すことが多いです。
病気やケガによって、法令で定められた障害の状態になった場合に、現役世代の方でも受け取れる年金です。
障害基礎年金と障害厚生年金があり、生活や仕事が制限される方の暮らしを支えます。
国民年金や厚生年金に加入していた方が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族(子のある配偶者や子など)が受け取れる年金です。
遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、残された家族の生活を支えることを目的としています。
ではなぜ、これらの年金を受け取っていても生活保護の対象となり得るのか。それは、生活保護の4つの原理のうち「補足性の原理」にあります。
補足性の原理とは、「生活保護は、あなたの持っている資産や働く能力、そして利用できる他の社会保障制度(年金、手当など)をすべて活用しても、なお最低生活費に満たない場合に、その“足りない部分”を補う制度ですよ」という考え方です。
年金制度は、生活保護法から見ると活用すべき他の社会保障制度の一つと位置づけられます。そのため、福祉事務所は「まずは年金を受け取って、生活費に充ててください」と考えます。
しかし、その年金額だけでは国が定めた最低生活費に届かない場合があります。その「年金だけではどうしても足りない不足分」を、生活保護が補ってくれるのです。
つまり、「年金をもらっているから生活保護は受けられない」のではなく、「年金収入をきちんと申告した上で、それでも足りない分を生活保護で補ってもらう」というのが、正しい制度の理解となります。
この補足性の原理があるからこそ、年金と生活保護の同時受給(併給)が可能なのです。
「年金をもらいながら、生活保護費をいくら受け取れるのか?」という疑問に、計算方法とシミュレーションを交えて解説します。
年金受給者が受け取る生活保護費は、以下の非常にシンプルな計算式で決まります。
『最低生活費』 – 『収入認定額』 = 『生活保護費(支給額)』
「国が定めた、あなたの世帯が健康で文化的な最低限度の生活を送るために必要なお金(=最低生活費)」から、
「年金を含む、あなたの世帯のすべての収入(=収入認定額)」を差し引いて、
「それでも足りない不足分」が生活保護費として支給される、という意味になります。
つまり、生活保護費を計算するためには、「①最低生活費」と「②収入認定額」という2つの金額を知る必要があります。
最低生活費は、全国一律の金額ではありません。地域や世帯の状況に応じて、一人ひとりオーダーメイドのように算出されます。
1つ目は居住地です。
都市部ほど生活費がかかるため、地域は物価などに応じて1級地-1から3級地-2まで区分され、都市部ほど基準額が高くなります。
2つ目は世帯の人数と年齢です。
一人暮らしか、夫婦世帯か、子どもの有無やそれぞれの年齢によって必要な生活費は変わるため、細かく基準が定められています。
3つ目は障害の有無や介護の必要性です。
障害のある方には「障害者加算」、要介護の方には「介護保険料加算」、母子家庭には「母子加算」、寒い地域には「冬季加算」など、世帯の特別な事情に応じて基準額が上乗せされます。
以下に、一人暮らしの高齢者の方の最低生活費の目安をまとめました。
これは生活扶助と、家賃として支給される住宅扶助(上限額)を合算した、実生活に近い金額のイメージです。
| 居住地(例) | 最低生活費の目安(月額) |
|---|---|
| 東京都23区 | 約13万円 |
| 政令指定都市 (横浜市、大阪市など) |
約11万円~12万円台 |
| 地方の中核市 (金沢市、宇都宮市など) |
約10万円~11万円台 |
※上記はあくまで目安です。実際の家賃や個別の加算の有無によって金額は変動します。正確な金額は福祉事務所にご確認ください。
収入認定額とは、生活保護費を計算する上で最低生活費から差し引かれる収入のことです。
年金(老齢・障害・遺族)は、原則として受け取っている金額の全額が「収入」として認定されます。
年金の他にも、以下のようなものが収入として認定されます。
なお、働いて得た収入(就労収入)については、働く意欲を支えるため、全額ではなく一定の基礎控除が認められており、収入額から控除分を差し引いた金額が収入認定額となります。
生活保護を申請するためのステップと、事前に知っておくべき重要な注意点について、実践的に解説します。
生活保護の申請から受給開始までの流れは、大きく分けて4つのステップで進みます。
まず、お住まいの地域を管轄する「福祉事務所」の相談窓口へ行きます(市区町村役場内に設置されていることが多いです)。ここで現在の生活状況、収入(年金額など)、困っていることなどを具体的に相談しましょう。
相談の結果、生活保護の利用が必要だと判断されれば、申請手続きに進みます。申請は本人の意思が最も重要です。
「生活保護を申請します」という意思を明確に伝え、申請書(保護申請書)を提出しましょう。口頭でも申請の意思表示は可能ですが、書面で提出するのが確実です。
申請が受理されると、福祉事務所の担当員(ケースワーカー)による調査が始まります。
調査内容は、提出された書類の確認、現在の生活状況を把握するための家庭訪問、資産(預貯金、生命保険など)の調査、そして扶養義務者(親、子、兄弟姉妹)に援助が可能かを確認する「扶養照会」などが行われるでしょう。
すべての調査が終わると、あなたの世帯が生活保護を受けられるかどうかが決定されます。
結果は原則として申請から14日以内(遅くとも30日以内)に、書面で通知されるでしょう。承認(保護開始決定)されると、生活保護費の支給が始まります。
申請をスムーズに進めるため、事前に以下の書類を準備しておくと良いでしょう。
※自治体によって求められる書類が異なる場合があります。詳しくは相談時にご確認ください。
生活保護を受けるためには、年金収入以外にも満たすべき要件があります。
預貯金は、最低生活費の半額程度までしか保有が認められないのが一般的です。解約返戻金が高額になる生命保険は、解約して生活費に充てるよう指導されます。
原則として土地・家屋などの不動産や自動車の保有は認められませんが、持ち家は資産価値が低く売却が困難な場合、自動車は通勤や通院に不可欠な場合など、例外的に保有が認められるケースもあるでしょう。
病気や障害、高齢などの理由がなく、働く能力があると判断されれば、その能力に応じて働くことが求められます。ハローワークに通うなどの就労活動が受給の条件となる場合があるでしょう。
親子、兄弟姉妹など民法上の扶養義務者から援助を受けられる場合は、そちらが優先されます。この確認のために行われるのが「扶養照会」です。
ただし、扶養義務者との関係が著しく悪い(DVがあった、10年以上音信不通など)場合は、照会を断れることもありますので、事情を正直にケースワーカーに伝えましょう。
A. 影響します。生活保護は「他の制度を最大限活用する」ことが前提のため、原則として受給可能な年金はすべて受給するよう指導されます。繰り上げ受給が可能な年齢であれば、繰り上げてでも年金を受給し、生活費に充てる必要があるでしょう。
A. 借金があっても生活保護の申請は可能です。ただし、支給された生活保護費を借金の返済に充てることは認められていません。借金問題については、法テラスや弁護士会などの専門機関に相談するようアドバイスされます。
A. 生活保護が開始されると、国民健康保険から脱退し、医療扶助と介護扶助が適用されます。これにより、医療機関での診察代や薬代、介護サービスの自己負担分は、原則として無料になるでしょう。
A. 決定に納得できない場合は、決定を知った日の翌日から3ヶ月以内に、都道府県知事に対して「審査請求(不服申立て)」を行うことができます。
A. 気を付けることは、収入申告の義務です。年金はもちろん、パート収入や親族からの仕送りなど、すべての収入を毎月(または定期的)に福祉事務所へ正確に申告することです。意図的に収入を隠すと、不正受給として保護費の返還や罰則の対象となるため、絶対にやめましょう。
福祉事務所の職員は、日々の生活に困っている方の相談を受け、利用できる制度を案内する「暮らしの専門家」です。あなたの状況を丁寧に聞き取り、どうすれば今の苦しい状況を乗り越えられるかを一緒に考えてくれます。
福祉事務所が最初の相談先となりますが、それ以外にもあなたをサポートしてくれる機関はたくさんあります。どこに相談していいか分からない場合は、以下の窓口を参考にしてください。
生活保護制度を正しく利用することは、決して人生の終わりではありません。
むしろ、経済的な不安から解放され、健康を取り戻し、安心して暮らせる未来を再スタートさせるための力強い手段です。