自己破産をした際の家族への影響は?財産(貯金や車、住宅)が処分されたり、ローンを組めなくなったりしますか?

自己破産を検討している場合、家族や周囲に知られたくなかったり、迷惑をかけたくないという人も沢山いると思います。 特に「家族に何かしらの影響があるのか?」「家族にバレてしまうのか?」「家族に迷惑がかかるのか」について考える人も多く、自己破産をするか悩む方も多いのではないでしょうか? こちらの記事では、そんな悩みについて家族にどう影響を与えるのかについて詳しく解説する記事となります。

自己破産した際の家族への影響について

自己破産をした場合には家族にも大きな影響がでる可能性もあります。影響がゼロということはほとんど無いと言ってもいいでう。 家族へどのようにすれば影響が最小限になるかについてをここで記載させていただきます。

自己破産すると自家用車がなくなる

自家用車を保有している場合、自己破産する際に手放さなければならない可能性があります。これは自己破産する際に20万円以上の財産は財団組み入れの対象とされてしまうからです。 ローンが残っている自動車:ローンが残っている場合には、破産管財人が入った時点で債権者に渡す様に手配されてしまい車は手放す必要があります。 ローンが残っていない自動車:ローンが残っていない場合は、自動車の価値により変わります。中古で購入している車や、初年度登録から7年経過している自動車の場合は価値がゼロと判断されて手元に残せる場合も多々あります。しかし、高級車、新車、外車などである程度の価値がある場合は管財人が処分されてしまいます。 家族名義の自動車家族名義の自動車の場合は処分されることはありませんが、車検証の提出が必要になる可能性があります

財団組み入れとは?

破産手続きをする際に、一定金額の財産がある場合は管財人弁護士が財産の一覧を出して「破産財団」として管理するようになります。この破産財団のリストに入れることを財団組み入れと呼ばれております。破産を申請する際には、管財弁護士が財産を管理するようになるため、本人が勝手に処分をしたりすることは一切できなくなってしまいます。管財人が処分を変わりに行います。

自己破産すると現金は99万円迄しか残せない

手持ちの総額は99万円となり、99万円を超える場合は、債権者に配当される財産として財団組み入れの対象になります。 99万円以上の現金・20万円以上の財産(車・保険の解約返戻金・預貯金)はすべて処分の対象になってしまいます。 また、何らかの理由によってどうしても必要な財産は管財人と裁判所の許可を得ることができれば残すことも出来ます。これを「自由財産の拡張」と呼ばれております。どうしても必要な財産がある場合は、破産を申請する際に申し立ての際に専門家に相談しましょう 【財産総額の99万円にはいる財産について】 ・お金に変えることが出来る価値のあるもの
・差し押さえが可能なもの
・破産手続き時に破産者が所有しているもの
・自由財産ではないもの 自由財産とは:新得財産(破産手続開始決定後に手に入れた財産)、99万円以下の現金、差押禁止財産、自由財産の拡張が認められた財産、破産財団から放棄された財産

自己破産した場合は家族カードも使えなくなる

自己破産をする際に本人名義のクレジットカードは使えなくなってしまうと同時に、本人名義で作った家族用のクレジットカードも使用できなくなってしまいます。 自己破産するとブラックリストに乗ってしまい、信用情報機関に事故情報として登録されてしまいます。自己破産の手続きから最低でも5年は履歴が残ってしまうので本人名義のクレジットカード・家族カードを新規で作成することができません。 また、現在持っている本人名義のクレジットカードも強制的に解約になってしまいます。 自己破産後はクレジットカードで支払いを登録しているものはすべて現金払いかデビットカード支払い等に変更する必要があります。

自己破産すると契約中の保険はすべて解約になる

生命保険、学資保険など20万円以上の解約返戻金がある保険はすべて解約となってしまいます。 強制的に解約されてしまう理由は、解約返戻金がある保険は「財産」として扱われてしまうためとなります。しかし、掛け捨て型の保険、解約返戻金が30万円以下の保険は財産と扱われず解約の対象にはなりません。 自己破産対象者が、解約対象になる保険でよく該当するのは子どもの学資保険になります。学資保険の多くは解約返戻金があるタイプが多く、返戻金は20万円を超えることが多いとされています。 そのため基本的には学資保険であっても解約が必要になってしまいます。

自己破産すると保証人になれない期間がでる。

自己破産をすると、信用情報機関に事故者として登録されてしまいます。そうなると登録されている期間は保証人になることが出来ません。 保証人は、債務者がなにかあった際に債務をかわりに支払うことになります。自己破産をしていると事故情報としてブラックリスト登録されているため、信用力、保証力がないとされてしまい審査に通らなくなってしまいます。 下記がどれくらいの期間、ブラックリストに乗ってしまうかの目安になります
信用情報機関 自己破産 個人再生 任意整理
日本信用情報機構(JICC) 5年 5年 5年
シーアイシー(CIC) 5年 5年 5年
全国銀行個人信用情報センター 10年 10年 5年

自己破産をしても家族へ影響がないことについて

自己破産の手続きをおこなったとしても、自分が自己破産したからといって家族の信用情報に影響がでることは基本的にありません。もちろん家族が保証人になっている場合は影響があります。 自己破産をして家族に何が影響があるのか出ないのかについてを詳しく解説します。

自己破産しても結婚に影響はない

自己破産をすることによって家族の結婚に影響が出ることは一切ありません。 自己破産の履歴が戸籍や住民票に記載されることもないため、公的書類に自己破産歴有りと記載されることは有りません。しかし自己破産したことは官報に掲載されてしまいますが、本人の名前と住所のみ表示されるだけとなっているため、家族情報は一切乗ることはないので心配する必要はありません。 官報を確認している人が見て噂になるということはなくも有りませんが、一般人で官報を見ている人は殆どいないことから、官報でバレる可能性は非常に低いと思います。

自己破産しても就職に影響はない

自己破産をしたからと言って、家族の就職、転職、現職等に影響が出ることは一切有りません。自己破産によって資格制限がかかるのは本人のみとなっています。本人も仕事に影響が出るのはかなり稀になります。 自己破産をした場合、資格制限というものがあります。対象となる資格は、弁護士・司法書士・税理士等の士業と警備員、宅地建物取引主任者、質屋になります。 これらの仕事に従事している場合は仕事に影響がある場合があるので専門家に確実に確認しましょう

自己破産しても家族の信用情報には影響はない

自己破産をすると自動的に事故情報が登録されてしまいますが、これは本人だけが登録されてしまいます。 結婚相手だとしても自己破産をしていない家族の信用情報に傷がつくようなことは有りません。 家族の中に自己破産者がいても、他の家族がクレジットカードを持ったりローンを組んだりすることは可能です。また家族カードとして自己破産者のカードを作ることも可能です。

自己破産を家族に秘密でできるのか?

自己破産の手続きは家族に秘密で進めるのはかなり難しいと言ってもいいですが、特定の条件下においては家族に内緒でできる場合もあります。 これは自己破産をしたという内容を家族に通知されるものではないからです。ただし、同居している家族に影響が多少なりともある場合があり、そういった場合にはバレてしまう可能性があると思います。 ケースによって様々であくまでも可能性としてバレる可能性が高いと思ったほうがいいでしょう

一人暮らしの場合は秘密で自己破産ができるかも?

同居人が誰もいない一人暮らしの場合であれば家族に知られずに手続き出来る可能性があります。 自己破産をする際に提出する書類は本人の書類のみとなっており、郵送物や電話連絡を細かく確認されることもありません。 ただし、家族や親族からお金を借りている場合は家族も債権者となってしまい、自己破産の申立の時点で連絡する必要があります。

兄弟や友人と同居している場合

兄弟や友人等とルームシェアをしている場合は、自己破産の手続きを秘密にすることが出来る可能性があります。家計が別であれば一緒に住んでいても同居人の資料は提出不要となるケースが多くあります。 ただし、賃貸や他人の家に住んでいる場合は、同居証明書といって住んでいることの証明を家主に記載して貰う必要があります。 裁判所には同居証明書と住民票を提出する必要があり、賃貸の場合は賃貸契約書も提出する必要があります。こういった書類を提出する際にバレてしまう可能性もありますが、仕事等で必要といえばバレない可能性もあります。

生計を完全に別にしている同居

親や家族と一緒に同居している場合で家族も収入があり生計を別にしている場合は秘密で自己破産の手続きができる可能性があります。 生計が完全に別であれば提出に必要な書類は本人書類のみとなります。親や家族の資料を提出することが不要になるケースのほうが高いです。

家族にバレてしまう可能性が高いケース

家族が保証人になっている場合

家族が自分の借金の保証人になっている場合は家族に知られずに自己破産の手続きをすることは出来ません。 自己破産の手続きをした場合、保証人に対して一括での返済請求が来てしまいます。結婚している場合は自動車ローン等を配偶者が保証人となっているケースが多々あります。 他にもローンが残っていれば保証人に連絡が来てししまいます。住宅ローン、奨学金など家族や親戚が保証人になっている債務がある場合は注意が必要です。 破産をする際に保証人の対象の中に親戚や家族が含まれている場合は、絶対に秘密にせずに相手に伝えることが大切になります。

結婚していて配偶者がいる場合

結婚していて配偶者がいる場合、秘密にして手続きをすることは難しいですが相手に収入があるかどうかによって変わります。 配偶者にも収入がある場合は、収入がいくらあるかの資料の提出が必要になります。自分が家計管理をしていたとしても、個人情報である配偶者の収入に関する資料は相手の会社に依頼したり等必要があるので勝手にできないことが多々あります。 また、破産の結果、車や家を手放す必要があるため、配偶者には協力して貰う必要があります。

家族に生計を維持されて助けてもらっている場合

専業主婦や無職で収入がない場合や、低収入で家族に生計を維持されている場合は家族に秘密で自己破産の手続きをするのは不可能になります。 家族に生計を助けてもらっている場合は、家族の収入に関する資料の提出が必要となります。 主にあるケースは下記ケースになります。 ・生活費を親に出してもらっている ・配偶者に扶養されている ・低収入の場合

家族に迷惑をかけない債務整理方法について

債務整理の方法は、自己破産、任意整理、個人再生と複数の方法があります。家族に迷惑をかけない方法や、借金を減額をするだけの方法などいくつかの方法があります。 できる限り家族に迷惑をかけたくないと思うのが普通だと思うので専門家に一度相談してから自己破産を行いましょう。

持ち家を残したいのであれば「個人再生」

マンションや一軒家を買っている人で持ち家や自動車を手放したくない人は個人再生がおすすめです。 個人再生は、借金を最大1/10まで減らすことができ、返済を継続していく債務整理の方法になります 自己破産のように裁判所を通して借金を全額なくす事はできませんが、持ち家を残した借金を大幅に減らすことが出来ます。 住宅ローン以外の借金を減額する方法の「住宅支援特別条項」といった持ち家を失わずに借金返済を進める方法があります。こういった手続きができれば「家や車を残す」ことが出来るという意味で家族に迷惑がかかることが少なくなります。
個人再生が適している条件
・定期的な安定した収入がしっかりある
・借金の金額が大きい
・持ち家を残したい
・自己破産を避けたい事情が何かある

家族が保証人になっている場合は「任意整理」

自分の借金の保証人に家族がなっている場合は、自己破産をしてしまうと家族へ借金が移ってしまいます。そのため家族が保証人になっている場合は家族へ迷惑をかけないためにも任意整理をすることがおすすめです。 任意整理は債権者と交渉して利息をなくしてもらうことで無理なく、借りたお金を返済していく制度になります。個人再生や自己破産と比べたら減額が大きく出来るかというとそうでは有りません。 しかし、保証人がついている借金は任意整理の対象から外すことができるため、保証人に対して迷惑をかけることは有りません。 任意整理が適している条件
  • 任意整理をしたら借金返済が十分可能な収入がある
  • 家族に秘密で債務整理したい
  • 債権者を選択して整理したい
  • 毎月の返済額を減らして完済を目指したい

自己破産で家族や周りに迷惑をかけないための注意点3点!

自己破産をすると多少なりとも必ず今後の生活に影響は出てしまいます。家族にできる限り迷惑をかけないように秘密にしたいという気持ちもあると思います。 ただ、その中で秘密にしすぎたりすると自己破産が認められなくなったり逮捕されてしまうケースもあります。そのため、専門家に対しては一切嘘をつかずに相談をしましょう

財産を隠したりしない

自己破産をする際には自分が何を持っているか等のリストを出す必要があります。現金、財産を隠さずに正直に申告する必要があります。 自己破産をする場合は、価値がある自分名義の財産は手放す必要があります。家族名義に変更して処分されないようにしたいという思いで家族名義に勝手に財産を変更してしまうケースもあります。 こういったことをすると、財産を隠したとされてしまい自己破産が出来ない「免責不許可事由」として借金の義務を免除されなくなってしまいます。 自己破産をする場合、直近1年以上の取引履歴をすべて確認されるため財産を隠そうとしてもバレてしまうため正直に申告しましょう。

偏頗(へんぱ)弁済をしない/特定の人だけに返済しない

特定の債務者にのみお金を返済することを、偏頗(へんぱ)といいます。 自己破産をする前に家族にだけ借金を返したり、携帯電話が止まらないように携帯電話のお金を払ったり等の特定の人にだけお金を返してしまうと、「免責不許可事由」とされてしまいます。

離婚する場合は専門家に相談する

自己破産をする前に、迷惑をかけるという理由で離婚をするのはいけません。 離婚をすると財産分与をすることになり、自己破産手続き前に離婚してしまう、財産分与をして名義変更をして財産を隠していると見られる場合があります。 自己破産が理由ではない離婚の場合も疑われる場合もあるので、手続きをする際にまずは専門家に相談をしましょう